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遺贈と死因贈与の違い

  • 文責:代表 弁護士 西尾有司
  • 最終更新日:2023年2月27日

1 遺贈と死因贈与の意味

遺贈とは、遺言により、相続時に被相続人の財産が受遺者に移転すると定めておくことを言います。

これに対し、死因贈与は、被相続人と受贈者との間で、被相続人の死亡を原因として贈与を行うとの合意を行うことを言います。

2 遺贈と死因贈与の違い

⑴ 単独行為か合意か

遺贈については、被相続人が単独で行うことができるのに対し、死因贈与については、被相続人と受遺者との合意により行うことができます。

死因贈与は、必ず、受贈者と合意しなければならず、被相続人の意思表示のみによっては、有効に行うことができません。

⑵ 作成の方式の有無

遺贈については、遺言によってのみ行うことができるのに対し、死因贈与については、遺言以外の方法によって行うことができます。

遺贈を行う場合には、自筆で作成する場合であれば、遺言者が全文、日付、氏名を自書し、押印しているという、自筆証書遺言の方式を満たしている必要があります。

平成31年の民法改正により、財産目録のみ署名押印があれば自筆でなくても構わないということになりましたが、それ以外については自筆する必要がありますので、他の部分をパソコン打ちしたものは無効となってしまいます。

公正証書で作成する場合であれば、公証役場において、遺言公正証書を作成してもらう必要があります。

これらの方式を満たさなければ、遺言は無効になってしまい、遺贈も無効になってしまいます。

他方、死因贈与契約には、このような方式の限定はありません。

死因贈与を行うとの意思が明確になっていれば、どのような書面を作成しても構いません。

書面を自書する必要はなく、全部または一部をパソコン打ちしたものでも有効となります。

また、書面ではなく、口頭で死因贈与を行うことも可能です。

もっとも、死因贈与を行うとの意思を明確にするためにも、一般的な雛形に基づき、書面で死因贈与契約書を作成するのが望ましいと言えます。

⑶ 放棄の可否

遺贈については、相続開始後に、受遺者の側で放棄し、遺贈の対象となった財産を受け取らないものとすることができます。

実際にも、不動産管理の負担を考慮し、遺贈の放棄がなされることは、しばしばあります。

なお、特定遺贈については、放棄の方法に特段の制限は存在しませんが、包括遺贈については、相続が開始し、遺贈が存在することを知ってから3か月以内に、家庭裁判所において、包括遺贈の放棄の申述を行う必要があります。

これに対し、死因贈与については、相続開始後に、受贈者の側で放棄することは、基本的にはできません。

⑷ 税金の違い

不動産について、遺贈を原因として、被相続人から受遺者への登記を行う場合、相続人に対する遺贈については固定資産評価額の0.4%、相続人以外に対する遺贈については一律、固定資産評価額の2%の登録免許税が課税されます。

他方、不動産について、死因贈与を原因として、被相続人から受贈者への登記を行う場合、登録免許税は一律2%になります。

他には、不動産取得税が、相続人に対する遺贈であれば非課税、相続人以外に対する遺贈であれば課税対象となるのに対し、死因贈与契約については一律、課税対象となってしまいます。

⑸ 手続のスムーズさ

事実上の話になりますが、遺贈については、相続手続が比較的スムーズに進むのに対し、死因贈与については、手続がスムーズに進まないことが多いです。

死因贈与は、広く用いられる方法ではありませんので、金融機関や証券会社において払戻、名義変更の手続を依頼すると、金融機関や証券会社の側で手続を進めることができるかどうかについて、検討する時間が長くなる傾向があります。

どのような書類を提出すべきかについても、被相続人の印鑑証明書の提出を求められる場合がある等、金融機関や証券会社によって異なる部分があります。

このため、一般には、死因贈与の方が、手続がスムーズに進まないことが多いです。

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