相続放棄手続きの費用について
1 家庭裁判所で必要となる費用
相続放棄の手続きは、必ず、家庭裁判所で行う必要があり、被相続人の最後の住所を管轄する家庭裁判所に、相続放棄の申述書を提出することにより、相続放棄の手続きを進めることとなります。
このとき、相続放棄の申述書と一緒に、収入印紙と郵便切手の提出も求められます。
収入印紙は、相続放棄を行う人1人当たり800円が必要です。
郵便切手は、各地の家庭裁判所で異なりますが、おおむね数百円程度が必要になります。
なお、相続放棄には期限があり、原則、被相続人が亡くなったことを知ってから3か月以内に行う必要があります。
2 戸籍、住民票の除票を取得するための費用
相続放棄の申述書と一緒に、被相続人の戸籍、相続放棄をする人の戸籍、被相続人の住民票の除票も提出します。
戸籍や住民票の除票は、本籍や住民票のある市区町村役場で取得する必要があります。
戸籍を取得するのに必要な費用は、450円です。
ただし、除籍になっている場合には、750円が必要となります。
住民票の除票については200円が必要です。
本籍や住民票のある市区町村役場が遠方にある場合には、郵送で戸籍や住民票を取得した方がスムーズであることも多いです。
この場合には、返信用を含む郵送代も必要になってきます。
被相続人と相続放棄を行う人の血縁関係が遠いと、順次、血縁関係や時系列を辿って、戸籍や住民票の除票の取得を進める必要があります。
このような場合には、必要な戸籍や住民票の除票を集めるのに必要な費用がかさんでしまうこともあります。
3 専門家に依頼する場合の費用
相続放棄の手続きについては、専門家に依頼することもできます。
専門家に手続きを依頼すると、書類作成、裁判所とのやり取りを任せることができます。
また、相続財産の管理方法や利用の可否等について判断に迷ったときには、専門家の助言を得ることができます。
専門家に戸籍や住民票の除票の取得を委託することもできます。
専門家にこれらを依頼した場合の費用負担は、どこまでを専門家に委託するかによって異なってきますが、相続放棄をする人1人当たり数万円から10数万円程度であることが多いと考えられます。
ただし、被相続人と相続放棄をする人の血縁関係が遠い場合、被相続人が亡くなってから3か月の期間が切迫している場合、すでに3か月の期間が経過している場合等には、費用負担が増額される可能性があります。
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